「NOKIA復活の軌跡」を読みました
今回、取り上げる本はこの本。NOKIA復活の軌跡です。
みなさんはNOKIAという携帯電話メーカーがあったことをご存知でしょうか?
私は実機を見たのは、友達が所有していたのを見せてもらっただけだけど。
一昔前には、爆発的な売り上げを誇っていたメーカーだ。
実は、過去に私が勤務している会社からも、部品を大量に購入してもらっていた時期がありました。
当時の担当者がNOKIAさんの質と量の要求に対応するのに苦慮していましたね。
なつかしい思い出です。
主人公は著者であり、現NOKIA会長のリストさん。
リストさんがNOKIAに見初められ、彼がNOKIAの取締役になることから物語は始まります。
そのNOKIAはやがてAppleのiPhoneやGoogleのアンドロイドに苦しめられるようになります。
この本では、第一部で転落していく様子を描き、後半の第二部では、リスト会長によるM&Aやリストラによる再建で新生NOKIAが立ち上がっていく様子が描かれています。
リスト会長がNOKIA取締役時代に経験したNOKIAの大企業病は恐るべきものでした。
よかれと思って指摘した内容が放置されるのは当たり前。
楽観的なシナリオばかりが取締役会で報告されるが、実現できない。
そんな状況でどんどん悪くなってしまった。
なぜ、転落を回避できなかったのか?当時のNOKIAは好調で、生まれてきたライバルを無視していた。
つまり、自社の製品に対してのリファレンスを見出していなかった。
そのリファレンスはのちにiPhoneだったり、アンドロイドスマホだったりするのですが。
現れた当時は性能が低いからとバカにして、まともに対策をとろうとしていなかった。
気が付いたのときは、NOKIAの携帯の悪い個所を根本的になくしたスマホを競合は開発していた。NOKIAの売り上げが二度と回復しないループに陥ってしまった。
読みながら感じたこととして、企業生命の保持のためには、常にリファレンスとなる存在は何者か?を考えて、ベンチマークをしていくということが、カギとなるように感じた。
競合の後発の製品には以前の自社製品よりもかならずいい点があると思ってみる必要があるということ。
前半は暗い話ばかりで投げ出しそうになるが、第二部は本当に楽しいので、頑張って読み続けてほしい。
とくに、M&A案件を立て続けに3件処理するのは、非常におもしろくよませてもらった。
リストさんが会長になってから、ある出来事に対して、そこから派生するシナリオが何か?ということを検討する習慣を社員に身に着けさせていく。
これが、後半の展開に大きな影響を与えているように感じた。
物語としては不採算事業の売却、そして残った価値ある事業の強化に奔走して、NOKIAをユニークな企業として育て上げていくことに。
面白かったです。最後にリストさんの言葉で印象に残ったことを書いておきます。
WHATではなくWHYを探るということ。
よく何かをやるというのはみんなやるのですが、なぜやるのかを明確にしていない人が多すぎるということでした。結果として意図しないことをしている可能性あり。
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今回の本、大作であり、読みごたえがありました。
著者のリスト・̪̪シスラマさん、翻訳者の渡部典子さん、扉デザインの小口翔平さん、岩永果穂さん、早川書房の皆様、出版ありがとうございました。